2012年6月3日日曜日

田野口淳子さん

 疑問が堂々めぐりの日々の中、ある日私は気づきました。大変たいへん失礼ながら、施工事例で生まれ変わったおうち達の、施工前の写真は我が家と大差ないことを。・・・ということは、このおうち達にお住まいの方々が、自分で家具を選んだり、壁紙を決めたりしたわけではないんだろうと。自力でこれが作れるのなら、施工前でももう少しステキにできたのでは?と。(あ-ん、ごめんなさいっ!! 皆様!)


 そうか、この特集号に出ている、田野口淳子さんという人が、きっと作ってくれるんだ!!
1人で考えていたって何も変わらない、やっぱり1度、お話を聞いてみよ!


 しかし、見れば見るほどステキなおうち達、これはきっと、1回や2回の打合せで出来上がる物ではないはず。完成して雑誌に紹介された方々の他に、きっとこれを目指してがんばっている途中の人もたくさんいるはずだから、お忙しそう。アポなしでふらっとお店に行っても淳子さんに会えるかどうかわかりません。お店に電話してみたところ、夕方戻られるとのことで、お約束が取れました。

 リビングの一角が空いており、とりあえず1つめの家具をそこに置きたいと思っていたので、壁の幅と梁までの高さを測ったのですが、やっぱり図面があった方がいいんだろうな、写真も撮った方がいいかな、とバタバタと準備して、約束の時間にお訪ねしました。

 家を買った直後で、手持ち資金はないけど、1つずつでも揃えていきたい、ネコ脚が好き、いつになるかわからないけど、LDが整ったら寝室も・・・等と、とりとめもなく話したと思います。梁の下に入る、小さいミラーバックサイドボードが欲しい!とお願いしたのですが、その時はサイズの合うのがなく、淳子さんお勧めの私のファーストアンティークは、今でもお気に入りのシノワズリのマホガニーキャビネット。素人では選べない、通好みの一品です。翌週末、配送していただいて、天板に載せるランプと一緒に、リビングの一角に置いたところ、そこだけ別世界。ステキ!・・・でもその一角だけ。

 キャビネット前にある組立ダイニングセットとのギャップに耐えられず、翌週またコマチ家具へ行き、ダイニングセットを購入。

 淳子さんのお勧めは、とにかく間違いがないのです。これは買っておきなさいと勧められた物は、経済的に厳しい時も多々ありましたが、がんばっておいて良かったと思う物ばかりで、こんなの要らなかったと思う物は1つもありません。

 リビングが全然整っていない段階で、マホガニーのベッドヘッドボードが入荷して勧められ、まだベッドなんて全然先のつもりだったのに、「ツインのマホガニーのベッドヘッドなんて、この先いつ入ってくるかわからない」とのことで、半信半疑で買ったのですが、これは本当に買っといて良かった!! あれから5年経ちますが、我が家のベッドヘッドを超えるツインなんて、1度も見たことがありません。

 この5年間、淳子さんとお付合いさせていただいて思うことは、「この人、天才だ」ということと、「とにかく、忙しい」ということです。自分がステキなおうちに住みたかったのよ、それが仕事になっちゃっただけ、といつも淳子さんは笑うのですが、確かに見ていると、好きじゃなければこんな手間暇かかること、できないですね。家具のコーディネートや壁紙を選ぶ等ということは、天才の淳子さんにとって文字通り朝飯前のようですが(普通の人はそれすらできないと思います)、リフォームまでするとなると、それに付随する作業の何と膨大なこと!ステンドガラス1枚、壁紙1部屋、カーテン1窓でも、選んだ後、デザインを考えて必要量を算出し見積りを取ってから発注する、発注番号を1ケタ間違えただけでも全く違う物ができてしまいますし、お金に直結ですから、常に真剣勝負です。

 1つの提案の裏には、過去事例の参照と応用、試行錯誤、様々なシミュレーションがあり、その長い過程を全て省いて、結論=これしかない、という提案がずばり出てくるのですが、初めのうちはこちらのレベルが低くすぎてよく理解できず、え、これ?もっと他の物があるんじゃないかしらなんて、素人の浅はかさで半信半疑だったこともありましたが、時間が経つにつれて、やっぱりこれが最良だったのだと実感したことが何度もありました。よくわからなくても淳子さんの提案なら、と信じてきたことが、結果として我が家の完成度を大幅にアップさせたのだと、今になって再認識しております。

 淳子さんがよく、「お客様が私のスイッチを入れてくれる」と言うのですが、本気でステキなおうちに住みたいと願う気持ちが通じて信頼が生まれた時、淳子さんの本気モードのスイッチが入り、「自分の家のように真剣に考えられる」そうです。もし私に同じ能力があったとして、私は自分の家のことは真剣に考えると思いますが、同じ熱意で他人のおうちのプランニングができるだろうかと考えると、恐らく無理だと思うのです。
本気でステキなおうちに住みたいかどうかは、自分で決めることだと思います。人に見せるための物ではないですから、どこまでやったら自分が満足するのか、物差しは自分の中にしかありません。

 コマチ家具のHPを見ながら、ステキね、こんなおうちにしたいわ、と思っていらっしゃる皆様は、本気でそうしたいのかどうかもう一度よくお考えになって、やっぱりこれをやらずには死ねない(・・と私は思いました())と思われましたら、お早めに淳子さんへご相談をお薦めいたします。

 一度に家具を揃え全面リフォームしなくたって良いのです。家具のコーディネートだけでも、相当のレベルまで達します。ゴールは遠いけど、必ず到達するという強い意志の下、1つずつ家具を揃えるところから始める場合でも、本気と信頼が通じれば、淳子さんは応援してくれます。

 ただし、これをやらずには死ねないという病気の方は、私の他にも大勢いらっしゃいまして、淳子さんもかなり多忙な日々ですので、カギは本気と決断力です。今年は、我が家の後、すでに2,3件のリフォームが決まっているようです。何しろほとんど全てが手作りに近いため、全面リフォームとなりますと年に数件しか受けられないそうです。皆様のご幸運をお祈りします。