2012年6月22日金曜日

照明について(その1)

私は普通のサラリーマン家庭で育ち、子供時代は公団住宅住まいでしたから、天井付の蛍光灯照明が当たり前と思っておりました。アンティークの灯りの魅力は、灯りと共に照明器具や照明に照らされた物を眺め楽しめることだと思います。従いまして、1つずつの光量は抑え気味にして、多くの灯りを使います。光源から直接照らすのではなく、壁や天井、家具や鏡を照らし、その反射光が眼に優しく、照らされた物に陰影をつけて雰囲気を出してくれます。家具と比べたら、ほんのちっぽけな物なのに、照明を蛍光灯からアンティークの物に変えただけで、お部屋の空気が全く変わります。ファーストアンティークとして家具を1つ買うのと、天井照明を1つ買うのとを比べると、もしかしたら照明交換の方が、効果が大きいかもしれません。

照明の種類としては、まずシャンデリア。天井につける物で、キャンドルタイプとシェードタイプがあります。ダイニングテーブルの上やベッドの上等、多少下がっていても大丈夫な所と、リビング等人が立って歩く場所で照明が下がらない方が良い場所があり、デザインや光量と併せて選ぶ必要があります。

次に必要な物はテーブルランプです。部屋の隅は暗いですし、ランプを置ける天板のある台や小テーブルの上に載せて高さを出し、灯りを取ると、コーナーがぐっと決まります。もちろんただ置けば良いというものではありません。いくらステキなランプでも、それほど広くない部屋で四隅ともランプだったらおかしいですね。カーテンや家具とのバランスを考え、適材適所が重要です。

さらに、日本人に馴染みが薄いのですが非常に重要な灯りとして、ブラケット(壁付照明)があります。これは残念ながら、壁の中に配線しないと付けられませんので、壁紙を貼り替えるタイミングで工事をしなければなりません。下向きにして絵や鏡を照らしたり、家具と天井の間の空間を埋めたり、何も置けない玄関や廊下、洗面室の雰囲気をアップするために欠かせないアイテムです。付ける場所がある程度決まっている天井付のシャンデリアが、比較的選び易く付け易いのに比べ、ブラケットは家具・カーテン・絵等の配置が最終決定した後に付ける、上級者向けの照明器具ということになります。くれぐれも、「ご利用は計画的に」。

その他、サイドボード等、天板のある家具の上に小さいランプを左右対称に置くのは、定番の飾り込みです。またデスクの上、ピアノの上に、実用を兼ねたデスクランプやピアノランプを置くのもステキです。スタンド型の照明としては、ブリッジランプがあります。

また、アンティーク照明の短所である光量不足を補うために、必要に応じダウンライトも仕込んでいただきます。調光付のダウンライトでしたら、明るさが必要な時だけ明るくし、寛ぎたい時には間接照明だけで雰囲気を出すことが可能です。ダウンライトの新設には、やはり天井配線が必要な上、ダウンライトを埋め込む高さが必要です。昨今の新しいマンションでは、二重床・二重天井も増えてきて簡単になったようですが、我が家のような古いマンションですと天井は直コンクリートのため、ダウンライト設置場所は、天井を10cmほど下げなくてはなりません。天井を下げない他の場所は、ダウンライトの仕込みはもちろん、天井付照明の位置変更も難しいです。追加の灯りが欲しいベッド上には、梁を利用してダウンライトを埋め込むことにしました。なければいいのにと思っていた、古いマンション特有の深い梁が、初めて役に立ちます。

このように多種多様の照明を配置していくわけですが、沢山あるランプを1つずつスイッチでオンオフするのは面倒で、きっと点けなくなってしまいます。そこで、コマチ家具のリフォームでは、壁のスイッチで天井照明とランプ達を1度に点けたり消したりできるように配線してくださいます。場所によっては、ちょうど戸建住宅の階段照明を、階段下で点けて上がった所で消せるように、点けた所と違うスイッチでも消せるようにしていただけます。ここまで考えてデザインする、淳子さんの頭の中はどうなっているのでしょうか。もはや家具屋の域を完全に超えています。
(続く)